【追憶のシリア】中東では光の雨が降る / 内戦前の街角風景

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数年前まで当たり前に観光出来たシリアですが、2019年現在、内戦の影響によってシリア全土には退避勧告が出ており、入国も厳しく制限されています。

国の情勢や天災によって、前まで当たり前に見れた風景が見れなくなったり、場合によっては風景そのものが失われたりします。日本でも、世界でも。

今回は前回に引き続き、そんな風景が失われる前、内戦前に訪れたシリアをサラッと振り返りたいと思います。

中東では光の雨が降る…

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光の雨が降る

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壁や地面の光の影がいい感じ

乾燥したアラブの大地。

極端に雨の少ないアラビア半島は土地が乾燥し、砂や岩石に覆われたエリアです。

そんな中東の国シリアですが、街を歩いていると、光の雨が降る風景をよく見ました。

写真は首都ダマスカスの、スーク(市場)近くのブドウの木の下。中東の強烈な光が葉のあいだを抜け木洩れ日となり、光の雨を降らせていました。日陰になって涼しいのか、気持ち良さそうにおじさんがずっと座っていました。

壁や地面に落ちた光の影が美しい。

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ダマスカスのスーク(市場)を歩いていると、地面に何やら不思議な模様が。

屋根に開いた小さな穴から入った光が非常に強烈で、地面にまで落ちてきているようです。

屋根には無数の穴が開いているため、光の水玉模様となって地面を彩っていました。

パルミラ

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青空とパルミラ遺跡

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遺跡の周りは砂漠

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砂漠に沈む不気味な夕日

ローマ帝国時代の遺跡が残るシリアを代表する遺跡。

けして状態の良い遺跡ではありませんでしたが、 それがまた、遠い昔の繁栄を思わせる侘しさとなっていました。 周りはとにかく絵に描いたような砂漠ですが、ナツメヤシが生息するオアシス都市でもあったようです。

マアルーラ村

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シリアの首都ダマスカスから北東56kmにある山間の村、マアルーラ。

古い教会や修道院が有名ですが、写真手前に見える街の道路(坂道)が、迷路のように入り組んでいて、ただただ歩くのが楽しかったのを覚えています。

なにより、写真奥に見える山の上のゴツゴツした岩が、どこか大きな宇宙船っぽくSF的で、手前に見える街とのギャップが非現実的な風景でした。

ユーフラテス川の夕日とデリゾール


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シリア東部の街、デリゾール近くに流れるユーフラテス川の夕日。

世界史で丸暗記した「チグリス・ユーフラテス川のメソポタミア文明」でおなじみの川です。現在のイラクの一部で栄えた古代メソポタミア文明。その文明を生んだユーフラテス川が、イラクにほど近いこの街にも流れていました。

正直、川両岸が整備されていない、「素」の状態のような川で何も特徴がありませんでしたが、流れが穏やかだったため水面に夕景が映りこみ、印象派の絵画のような何とも美しい風景でした。


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道に迷っていた時に街を案内くれた学生さん達。
手前の男性は少し怪しげですが奥の学生さんの優しそうなこと。外国人観光客が珍しいのか非常によくしてくれました。探していた安宿の前まで送ってくれた時の一枚です。

外食の文化があまりない?

アラビア半島エリアを旅行した際に思ったのが、もともとアラブ民族の国は外食の文化がない(?)のか、食事が取れる場所が非常に少なかった印象があります。
(乾燥した土地で作物があまり取れないも関係?)

そして、このデリゾールという小さな街では、より一層食事に苦労したのを覚えています。

ただ、その代わりお菓子屋があちこちにありました。
イスラム教によって基本的にお酒が禁止されていることによる糖質の欲を、お菓子で解消しているためなのか真意の程はわかりませんが、とにかくお菓子屋がそこら中にあり、結局夕食時の空腹をお菓子で満たすことになりました…。

美人の国シリア

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カメラを向けるとポージング!

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傾けた顔がかわいい…

ハーフ美人という言葉がありますが、混血というのは美人を生む重要な要素のようです。

成人女性はみんなスカーフをしているので気づきにくいですが、混血が多いシリアは、美人が多いことで有名だそうです。

その事実は、スカーフをしていない子供たちを見れば明らか。ぱっちり二重に大きな目・彫りの深い顔を見ると、将来美しい女性になること間違いなしです。カメラを向けると常にポーズを取ってくれました。

中東のおじさん

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「中東」とひとえに言っても、民族的には、大きく分けて3つからなるそうです。イランのペルシャ人、トルコのトルコ人、そしてアラビア半島を中心にしたアラブ人。

ペルシャ人やトルコ人のおじさんは大きくて太い人もいれば小さくて細い人もいましたが、アラブ人のおじさんは、血筋なのか食事の影響なのか、とにかく皆プロレスラーのように大きくて強そうなんです。
その大きさ、かっぷくの良さが、アラブ圏の衣装と相まってすごい存在感がありました。

見た目的にも恐いアラブのおじさん達ですが、話かけるととても優しく親切で、アラブ人に限らずイスラム圏のおじさん達は、旅行者に対するホスピタリティに溢れていました。世界で一番好きなおじさん達です。

そして、子だくさん?

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カメラを向けると子供が集まってくる!

まとめ

シリアには世界的に知られた大きな観光地というのが、あまりありません。

私もトルコからヨルダンに陸路で向かうために、ただ通過するつもりでした。
しかし、そこで出会った風景と人々は忘れられないものとなり、シリア内戦のニュース・報道を聞くたびにそのことを思い出します。

旅行時に出会った現地の人々は、今も元気にやっているのだろうか。
あの頃出会った子供たちも、今は大きくなって親になり、たくさん子供がいるんだろうなあ…。

今回の記事の写真を見ながら、そんなことを強く思いました。

2019年5月現在、内戦は大きく収束し、首都ダマスカスには賑わいが戻ってきていると聞きます。
シリア国内のほかの地域にも、その賑わいが広がることを遠い国から願うばかりです。