【ペトラ遺跡】地図を見て興奮!砂漠に溪谷、アラビア半島にペトラあり!
『アラビア半島』。
なんて魅力的な言葉なんでしょうか。
砂漠・遊牧民・古代遺跡・イスラム教発祥の地・死海…。この半島が連想させる言葉は、旅人の心を強く強く惹きつけます。そして、そのアラビア半島を代表する見所といってもよいのがペトラ遺跡。
数々の映画の撮影地としても有名なこの場所、中でも一番有名なのが「インディージョンズ/最後の聖戦」のクライマックス、聖杯が眠る場所としてではないでしょうか。
小さい頃に見た映画の記憶と、強いワクワク感を抱きながら訪れたペトラ遺跡は、その期待に十二分に答えてくれるものでした。その興奮を少しでもお伝えできればと思います。
目次
アラビア半島とヨルダン
アラビア半島
アラビア半島は、東にアジア・北西にヨーロッパ・南にアフリカをみる絶妙の場所にあります。
東南アジアから西へ西へ進んできた人、ヨーロッパを回り東へ向かって来た人、アフリカをぐるっと回り北上して来た人たちが交わる、旅人の交差点のような場所で、実際私が訪れたときも、あらゆるエリアから来た旅人とすれ違い、様々な情報を得ることができた非常に刺激的なエリアでした。
ペトラ遺跡は、そんなアラビア半島の付け根のような場所、ヨルダンにあります。
ヨルダンという国
先程の地図でヨルダンの位置を見て下さい。
周りをシリア・イラク・イスラエル・サウジアラビアと、情勢が不安定な国に囲まれています。周辺国の情勢がヨルダンにも大きく影響を与えるため少し不安がありましたが、シリアやイラクなど入国が不可能な国に比べると、まだまだ安定して観光ができる国だと思いました。
旅行者(バックパッカー)としては、南部のアカバからフェリーでエジプトに渡ることもできるし、陸路でイスラエルに入国する際は、ここヨルダンから入国するのがセオリーといわれています。
国土は、日本の北海道より少し大きいくらいで、国としてはあまり大きくなく、産業も観光業以外なさそうです。その観光としての見所は、死海と、紅海に通じるアカバ湾のリゾート、そしてそのアカバ湾と死海の間の渓谷にある、ペトラ遺跡です。
アカバ湾。対岸はイスラエル
ペトラへのアクセス
アンマン各所 | |
---|---|
↓ |
各地からタクシーで |
南バスターミナル | |
↓ |
ミニバスで片道約3時間半(7JDくらい) |
ワディ・ムーサ |
ヨルダンの首都アンマン。
ペトラに行くには、アンマンの南バスターミナルから行くことになります。
バスターミナルへはタクシーで向かい、そこでハイエースのようなミニバスに乗りかえます。満席になり次第出発といった流れで、現地の人と肩寄せ合いながらの乗車は結構楽しかったです。
バスターミナルからペトラのあるワディ・ムーサという街まで3時間半程でした。
バレンタイン・イン
ミニバスで到着したワディ・ムーサには、いくつかホテルがありますが、私は「バレンタイン・イン」というホテルに泊まりました。立地が街を見渡せる高台にあることと、ビュッフェスタイルの夕食と朝食(共に有料)が非常に魅力的だったからです。
(旅行中あるあるですが、朝から朝食を求めて街をウロウロするの、けっこうしんどいですよね…)
ペトラ遺跡に沈む赤い夕日
いざペトラ遺跡へ
バレンタイン・インに宿泊した翌朝、ホテルで朝食を頂いた後、いよいよペトラ遺跡に。ホテルからペトラ遺跡の入り口までは、ホテルの人が送ってくれました。
入口からすぐの風景
入口のゲートを通ると視界が一気に開けその先には、乾いた大地と大きな岩のような山々。ここから渓谷の入り口まで、緩い下り坂が続きます。そして早速ですが、この渓谷の入口からに「エル・ハズネ」に向かうまでが、このペトラ遺跡のハイライトとなる場所でした!
渓谷の先にある「エル・ハズネ」
渓谷の入口付近を見た風景。高さ20〜30mもある渓谷を前にすると人が豆粒のように小さく見えます。また、色彩の無い乾いた大地と中東の容赦ない日差しによって、この渓谷が人を寄せ付けない要塞のように見えてきました。そんな渓谷に人がどんどん吸い込まれていきます。
-
細い渓谷を進む
-
渓谷の先に…
渓谷の中に入ると細い渓谷によって日差しが遮られ、少し涼しさを感じます。そして、幅の強弱を繰り返しなから「エル・ハズネ」のある広場に向かうのですが、この岩の裂け目ともいえる細い渓谷を進む時間は、本当にワクワク感が止まりませんでした!
無骨にむき出しになった岩肌が、行く手を阻むように両側から突き出しては引き込み、そのすき間を小さな小さな人間が通る。そして、この先に何があるのかわからない道をどんどん進む感覚は、冒険心をくすぐり少年の頃に戻り純粋な好奇心が甦ります。
そして、細く立体的な岩の裂け目からエル・ハズネが姿を現しました。
これがエル・ハズネ
これぞ、「エル・ハズネ」
渓谷を抜けた先に正面に、ドンとエル・ハズネが迎えてくれました。
高さ40mにもなる大きなエル・ハズネは、午前中ということもあり、斜め上から降り注ぐ強い光によって深く陰影を落とし、その存在感と美しさを強調します。
アラビア語で「宝物殿」を意味するこのエル・ハズネは約2000年前紀元前に作られたのだとか。古代ギリシア建築の影響を受けているためか、正面から距離を置いて見るより、下から見上げたほうがより美しく感じました(下から見たほうが柱の直線を感じる)。
しっかし、見れば見るほど見事な建築物です。
偶像崇拝を禁じるイスラム教徒により、上部の像は破壊されていますが、まっすぐ伸びる柱の線がとにかく美しく、屋根(?)の装飾も本当に見事です。人の手によって彫り出された美しさは、そのまま残された横の岩壁との対比によってより一層浮き立っていました。
上から眺めるエル・ハズネ
エル・ハズネを十分に楽しんだ後は、ペトラ遺跡の一番奥にある「エド・ディル」へ向かいました。
すると、ふと道なき道から降りてくる人が…。話を聞くと、先ほど見たエル・ハズネを上から望むことができる場所があるとか…。寄り道として行ってみるとそこにも素晴らしい風景が広がっています。
-
赤土の道を進む
-
上からエル・ハズネを眺める
岩のような山を登り赤土の何とも趣のある道を行くこと15分程でしょうか、先程見た見上げた見た大きなエル・ハズネを今度は上から見下ろすという、ちょっとした優越感が味わる風景が広がります。
上から見ると、エルハズネが荒々しい岸壁をくりぬいて制作されたことを改めて感じることができる、ちょっと特別な風景でした。
ペトラの最奥「エド・ディル」へ
荒野に立つ「エド・ディル」
改めてペトラ遺跡の一番奥、エド・ディルに向かいます。道中、崖を彫った遺跡がいくつかあり、それを見る度に気持ちが高ぶりますが、エド・ディルまでは健脚でも2時間近く掛かる道のりで、ペットボトルの水がお湯になるような暑さと時間をかけて向かうことになります。
途中で心が折れそうになりましたが、信じて向かったその先には、労力に値する風景がありました。
岩を彫った彫刻(?)の精度としては先程のエル・ハズネの方が優れていますが、立地が違います。先程のエル・ハズネは渓谷に囲われた広場にあるのに対し、このエド・ディルは、広い広い荒野の中にポツンとたたずんでいました。
日々降り注ぐ日差しと風を浴びて少し風化した姿が、何ともわびしい。荒野をテーマにした映画のセットのようです。 少し距離を置いて腰を下ろし、時折吹く風を感じながら、ただただぼ~っと眺めて感傷に浸りたくなるような風景です。
まとめ
ピンクがかったエルハズネ
エルハズネまで戻った頃には夕刻になっていました。直接光を受けないエル・ハズネは全体がピンクがかり、午前中に見た立体感のある姿とはまた違った、優しい美しさがありました。
砂漠・古代遺跡・冒険心…。
ペトラ遺跡は、心身共に映画の中に入ったような非日常を味あわせてくれる、世界でもかなり稀有な場所だと思います。遠いアラビア半島にまで足を運ぶ価値は十分にありますよ。入場料は最近高騰しているようですが…。
入場料50JD(日本円で約8000円、高っ!!)
ちなみに…
ペトラ遺跡では特定の曜日の夜に、「ペトラナイト」といって、エルハズネまで蝋燭をともした風景を楽しめる夜があります。
灼熱の昼間とはまた違い、蝋燭の炎で浮かび上がる遺跡は妖しい雰囲気をまとっていました。